特定技能で外国人労働者を雇用する方法として、日本国内にいる外国人を雇用する方法と海外にいる外国人労働者を雇用する方法があります。
ここでは、「海外にいる外国人を雇用する方法」の流れを説明したいと思います。
海外にいる外国人とは
海外にいる外国人労働者を日本で雇用するためには、「特定技能」という在留資格を取得しなければなりません。取得できるのは、「18歳以上」であること。かつ「技能実習2号の修了者」や「特定技能評価試験合格者(技能試験及び日本語試験合格者)」とあることとなります。
海外にいる外国人を特定技能で求人方法
特定技能外国人の求人方式は日本人と同様となります。過去、自社で技能実習生として働いていた技能実習生や、他社で同業種の技能実習生を特定技能外国人として採用することも可能です。
元技能実習生に直接コンタクトをする
過去、在籍していた元技能実習生に再び来日してもらい特定技能外国人労働者としてコンタクトを取る方法です。母国に帰国(6か月~1年経過)した外国人は特定技能の在留資格申請は、技能評価試験や日本語試験が免除されます。
また、過去自社の仕事を経験しているので、安心感があると思います。連絡先が分からない場合は、同時利用していた監理団体や送出し機関へ連絡して確認してみたらいかがでしょうか。ただ、母国で定職に就いたり、結婚して家庭を築いて、直ぐに応じてくれるとは限りません。また、日本語能力が低下している可能性もあります。
自社ホームページに求人掲載
自社のホームページに求人を掲載しましょう。自社サイトですので、採用コストがかからないメリットがあります。求人したい国の言語で求人募集を行うと効果があると思います。
職業紹介事業者を利用する(登録支援機関)
近年の傾向として、職業紹介事業者が特定技能の登録支援機関に登録しているケースが多く、職業紹介から入社後のサポートまでをワンストップで依頼することができます。今後、登録支援機関から特定技能の外国人労働者を紹介してもらうケースが増えていく可能性が多いと思います。
海外の人材紹介事業者を利用する
技能実習制度で技能実習生を日本に送出し機関としていた、海外の送出し機関が人材紹介会社として、特定技能の送出し機関になる傾向が大きくなっています。また、海外の政府機関を通じて行われる国もあります。ただ、海外の事業者を利用する際は、悪徳ブローカーなどが介入する可能性があるため、注意が必要となります。
特定技能1号の外国人労働者を雇用する場合の注意点
1. 特定技能雇用契約の締結
外国人の受け入れが決定され次第、企業(受け入れ機関)と外国人の間で「特定技能雇用契約」を締結します。
企業(受入れ機関)が外国人と結ぶ雇用契約が満たすべき基準
- 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
- 所定労働時間が,同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
- 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
- 外国人であることを理由として,報酬の決定,教育訓練の実施,福利厚生施設の利用その他の待遇に ついて,差別的な取扱いをしていないこと
- 一時帰国を希望した場合,休暇を取得させるものとしていること
- 労働者派遣の対象とする場合は,派遣先や派遣期間が定められていること
- 外国人が帰国旅費を負担できないときは,受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑に なされるよう必要な措置を講ずることとしていること
- 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることと していること
- 分野に特有の基準に適合すること
とされています。
企業(受入れ機関)自体が満たすべき基準
- 労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
- 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
- 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
- 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
- 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
- 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
- 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
- 支援に要する費用を,直接又は間接に外国人に負担させないこと
- 労働者派遣の場合は,派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで,適当と認められる者であ るほか,派遣先が①~④の基準に適合すること
- 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
- 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
- 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
- 分野に特有の基準に適合すること
とされています。
2. 在留資格認定証明書交付申請
出入国在留管理庁へ在留資格の変更申請を行います。
外国人本人は以下の要件を満たしてている必要があります。
- 18歳以上であること
- 技能試験及び日本語試験に合格していること(技 能実習2号を良好に修了した外国人は免除)
- 特定技能1号で通算5年以上在留していないこと
- 保証金を徴収されていないこと又は違約金を定め る契約を締結していないこと
- 自らが負担する費用がある場合,内容を十分に理 解していること など
3.在留資格認定証明書の交付
入国管理局から特定技能の在留資格認定証明書が交付されます。交付された在留資格認定証明書を海外にいる外国人へ送付を行います。在留資格認定証明書の有効期限は、3カ月となっています。3か月以内に必ず入国することが必要です。
4. 在外日本大使館・領事館へのビザを申請
「在留資格認定証明書」と必要書類を日本大使館や日本領事館に提出しビザの発給の申請を行います。
5.ビザの発給
審査期間は数日から2週間程度かかる場合もあるので余裕をもっておく必要があります。許可されると提出されたパスポートにビザ(査証)が張り付けられます。
6.日本へ上陸
在留資格認定証明書は「上陸審査」の際に上陸条件の1つです。活動の非虚偽性、在留資格該当性、基準適合性を立証することで役目を終え、入国管理局に回収されます。
7.在留カード
成田空港、羽田空港、関西空港、中部空港に上陸した場合は、空港で在留カードが交付されます。その際は住居地が「未定」のまま交付されますので、住居地の市区町村役場に出向いて手続きをします。
在留カードは,新規の上陸許可,在留資格の変更許可や在留期間の更新許可など在留資格に係る許可の結果として我が国に中長期間在留する者(中長期在留者)に対して交付されます。したがって,法務大臣が我が国に中長期間滞在できる在留資格及び在留期間をもって適法に在留する者であることを証明する「証明書」としての性格を有するとともに,上陸許可以外の在留資格に係る許可時に交付される在留カードは,従来の旅券になされる各種許可の証印等に代わって許可の要 式行為となるため「許可証」としての性格を有しています。
在留カードには,氏名,生年月日,性別,国籍・地域,住居地,在留資格,在留期間,就労の可否など,法務大臣が把握する情報の重要部分が記載されていますので,記載事項に変更が生じた場合には変更の届出を義務付けており,常に最新の情報が反映されることになります。また,16歳以上の方には顔写真が表示 されます。
なお,中長期在留者が所持する従来の外国人登録証明書は,一定の期間,みなし再入国許可による出国や出入国在留管理局で行う各種申請手続,市区町村で行う住居地届出手続等において,在留カードとみなされます。
8.入国後の支援について
- 入国時の空港等への出迎え及び帰国時の空港等への見送り
- 適切な住居の確保に係る支援・生活に必要な契約に係る支援
- 外国人に対する在留中の生活オリエンテーションの実施
(預貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約に係る支援を含む) - 外国人が履行しなければならない各種行政手続についての情報提供及び支援
9. 受け入れ機関での就労開始
すべての支援が終わり、外国人の就労開始となります。
企業(受入れ機関)は,1号特定技能外国人に対して「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるように するための職業生活上,日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画。以下 「支援計画」という。)を作成し,当該計画に基づき支援を行わなければならない。合わせて支援計画書等下記各種の届出が必要となります。
5. 外国人雇用後の各種届出
- 特定技能雇用契約に係る届出
- 支援計画変更に係る届出
- 支援委託契約に係る届出
- 受入れ困難に係る届出
- 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為に係る届出
四半期ごと
- 受入れ状況に係る届出(人数・活動内容・活動場所など)
- 支援実施状況に係る届出
- 活動状況に係る届出(報酬の支払い状況・報酬水準など)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
海外にいる外国人を特定技能で雇用する流れを説明しました。日本は、少子高齢化で労働人口が減って行きます。今後はより外国人の雇用が増えていきますので、外国人の雇用を検討されてはいかがでしょうか。