(ひと)指宿昭一さん 「人身売買と闘うヒーロー」に選ばれた弁護士【朝日新聞2021年9月14日】

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指宿昭一さん

「弁護士バッジをつけた労働運動活動家」を自任する。27歳で初めて司法試験に挑戦し、44歳で合格した。17回目の受験だった。

弁護士になるつもりはなかった。大学在学中にアルバイトで働いていたコンビニで、労働組合を結成する。そのまま、中小企業の労働組合運動に入った。

その組合の活動を支援してくれていた弁護士が過労で病床に。「執行部には大学出の若い人が多い。組合で弁護士を育てたらどうか」というアドバイスを受けて、組合内部で白羽の矢が立った。

「一活動家として一生やっていきたい」と一度は断ったが、「活動家のまま弁護士になればいいじゃないか」と仲間に背中を押され、活動を続けながら勉強した。

外国人技能実習生からの相談が組合に多く寄せられ、弁護士登録直後から関わってきた。それまで見てきた中小企業の現場も劣悪だったが、「はるかに奴隷的な労働だった」。実習生問題に長く取り組み、今年7月、米国務省から「人身売買と闘うヒーロー」に選ばれた。日本人では2人目だ。

国際貢献を名目にして続いている実習生制度。コロナ禍で実習生が来日できなくなり、日本の農業や介護に不可欠な労働力であることが改めて浮き彫りになった。「制度の矛盾が明らかになった。実習生制度は廃するべきだ」

信念はますます強まっている。(文・写真 沢路毅彦)

朝日新聞デジタル

 「弁護士バッジをつけた労働運動活動家」を自任する。27歳で初めて司法試験に挑戦し、44歳で合格した。17回目の受験だっ…