実習生失踪、2割検査せず 監督機関の人員不足で 会計検査院指摘【朝日新聞2021年7月17日】

外国人技能実習生が実習先から失踪した際に、国の監督機関が実習先に行う実地検査について会計検査院が調べたところ、2019年の半年間では失踪件数の2割で検査をしていなかったことがわかった。検査院は、監督機関の人員不足が原因だとした上で、「制度の適正化に取り組むことが重要」などとする調査報告書を16日、国に提出した。

検査院は、改正入管法が施行された2019年の国会の要請に基づき、実習制度を監督する国の認可法人「外国人技能実習機構」の業務を調べた。それによると、19年4~9月に起きた失踪事案3639件の2割に当たる755件で、翌年3月末時点でも検査が行われていなかった。そのうち557件は、賃金台帳やタイムカードなどの資料も入手できていなかった。

報告書は、機構の人員不足が原因で検査ができなかったと認定。検査院の担当者は「時間がたてば証拠が散逸し、労働環境の実態把握が難しくなる。実習先の問題の指摘が遅れれば新たな失踪が繰り返されることになりかねず、悪循環になる」と指摘した。

実習先や監理団体などへの実地検査は、技能実習適正化法に定められている。出入国在留管理庁と厚生労働省は機構に対し、失踪事案では「実地検査を優先的に実施すること」を19年5月の通知で指示。すぐに検査ができない場合は、「客観的資料の早期の確認と保全」を求めている。

機構は取材に対し「未実施分は検査を進め、徐々に減少している」と説明。一方で、「新たな失踪事案も発生するので、並行的に進めており、即座に検査できない事案が常に2~3割はある状況」と認めた。

外国人の労働問題に詳しい指宿昭一弁護士は「失踪の背景には、給料の未払いなどの違法な労働環境があることが少なくない」と指摘した上で、「『機構をつくれば、制度は適正化できる』と国は説明してきた。その機構が人手不足で検査もできないのであれば、実習制度自体が破綻(はたん)し、立ちゆかなくなっていることを示している」と話した。(後藤遼太)

朝日新聞デジタル

 外国人技能実習生が実習先から失踪した際に、国の監督機関が実習先に行う実地検査について会計検査院が調べたところ、2019…