
特殊詐欺に使われた通帳で現金を引き出そうとしたとして、兵庫県警国際捜査課と芦屋署は16日までに窃盗未遂の疑いで、いずれもベトナム国籍で解体工事作業員をしている33歳と32歳の男2人=いずれも大阪市大正区=を逮捕した。現金を引き出す「出し子」だったとみられ、通帳の口座は別のベトナム人名義だったという。
捜査関係者によると、ここ数年、特殊詐欺事件に絡んで全国の警察が凍結した口座のうちベトナム人の名義は約2割に上っている。
2人の逮捕容疑は今年5月9日午前10時ごろ、兵庫県芦屋市西山町の金融機関で、不正に入手した通帳を使って現金自動預払機(ATM)で現金を引き出そうとした疑い。
同署によると、この通帳は4月に尼崎市内で起きた還付金詐欺事件の振込先に使われ、警察が凍結していたため、事件が発覚した。同署の調べに2人は「通帳は知人にもらった。犯罪に使われているとは知らなかった」と話している。
捜査関係者によると、特殊詐欺事件に絡んで凍結した全国の口座について、2016年にベトナム人名義は全体の1%未満だったが、過去3年で急増して約2割を占めているという。
背景には、技能実習生として期限付きで来日したベトナム人が帰国時に交流サイト(SNS)などを通じ、不要になった口座を1万~6万円で売るケースが拡大しているという。
「本人たちが犯罪に加担している意識はないかもしれないが、そこに詐欺グループが目を着けている」と捜査員は指摘する。
法務省によると、技能実習の名目で入国した外国人は2020年の1年間で約10万5千人に上り、そのうちベトナム国籍は約5万6千人と半数を超えている。
県警は「不審な電話に出ないことはもちろん、不審な振り込みを指示されたら、口座の名義にも注意してほしい」としている。
特殊詐欺に使われた通帳で現金を引き出そうとしたとして、兵庫県警国際捜査課と芦屋署は16日までに窃盗未遂の疑いで、いずれ…