技能実習
外国人技能実習制度とは
外国人技能実習生制度の概要について
以前からある在留資格ですが、外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。
・技能実習制度は、国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れ、OJTを通じて技能を移転する制度。(平成5年に制度創設)
・技能実習生は、入国直後の講習期間以外は、雇用関係の下、労働関係法令等が適用されており、現在全国に約40万人在留しています。(令和2年現在)
第1条では、技能実習法の目的として、
・ 「技能実習の適正な実施」
・ 「技能実習生の保護」
を図ることにより、「人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力」を推進することと規定しています。
技能実習は、労働力不足を補うための手段として行われてはならない旨の基本理念が定められています(法第3条)
技能実習の特徴
雇用期間 |
1年~最長5年 ※業種により異なります。特定技能移行で5年延長できる場合があります。 |
就労までの期間 |
6カ月程度 |
就業可能職種 |
製造業、農業、清掃業、建設業、介護など |
資格 |
18才以上、学歴不問。渡航前150時間以上の日本語教育受講義務 |
技能実習生受入れの方式
企業単独型技能実習と団体監理型技能実習に分けられます。
企業単独型の流れについて
日本の企業等が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方式です。
実習実施者の外国にある事業所など一定の事業上の関係を有する機関から技能実習生を受け入れて技能実習を行わせる形態です。
監理団体型の流れについて
非営利の監理団体(事業協同組合、商工会議所等)が技能実習生を受け入れて、傘下の企業等で技能実習生を実施する方式です。
外国人技能実習制度で、企業と技能実習生を結ぶのが「監理団体」とされています。
団体監理型では実習生を受け入れるのは企業ではなく、「監理団体」が受け入れます。
企業は実習生を直接採用できず、監理団体を通して求人票を出します。
企業は、監理団体が契約する海外の「送出し機関」が募集した候補者と雇用契約を結ぶ流れになります。
外国人技能実習を雇いたい場合は、まず、監理団体に問い合わせをすることより始まります。
送出し機関とは
技能実習制度では、外国政府の推薦又は認定を受けた機関が「送り出し機関」として関与します。
外国の送出機関は、団体監理型技能実習生になろうとする者からの団体監理型技能実習に係る求職の申込みを適切に日本の監理団体に取り次ぐことができる者として主務省令で定める要件に適合するものをいいます。
「監理団体」は、必ず「送出機関」と契約しなければなりません。
対象職種(令和2年10月21日現在)
- 農業関係(2職種6作業)
- 漁業関係(2職種10作業)
- 建設関係(22職種33作業)
- 食品製造関係(11職種18作業)
- 繊維・衣服関係(13職種22作業)
- 機械・金属関係(15職種29作業)
- その他(16職種29作業)
- 主務大臣が告示で定める職種・作業(1職種3作業)
技能実習2号移行対象職種 82職種 150作業※一部職種・作業については3号に移行することができませんのでご留意ください。技能実習3号移行対象職種 74職種 130作業1 農業関係(2職種6作業)職種名[…]
技能実習の区分と在留資格
企業単独型
企業単独型は、入国1年目の技能等を修得する活動、2・3年目の技能等に習熟するための活動、4年目・5年目の技能等に熟達する活動)の3つに分けられます。
入国年数 | 企業単独型 |
入国1年目 (技能等を修得) | 第1号企業単独型技能実習 (在留資格「技能実習第1号イ」) |
入国2・3年目 (技能等に習熟) | 第2号企業単独型技能実習 (在留資格「技能実習第2号イ」) |
入国4・5年目 (技能等に熟達) | 第3号企業単独型技能実習 (在留資格「技能実習第3号イ」) |
団体監理型
監理団体型も同様に、入国1年目の技能等を修得する活動、2・3年目の技能等に習熟するための活動、4年目・5年目の技能等に熟達する活動の3つに分けられます。
入国年数 | 団体監理型 |
入国1年目 (技能等を修得) | 第1号団体監理型技能実習 (在留資格「技能実習第1号ロ」) |
入国2・3年目 (技能等に習熟) | 第2号団体監理型技能実習 (在留資格「技能実習第2号ロ」) |
入国4・5年目 (技能等に熟達) | 第3号団体監理型技能実習 (在留資格「技能実習第3号ロ」) |
技能実習の「監理団体」とは?
海外の提携先送出し機関から職業安定法に基づいて技能実習生を受入れ、受入れ企業(実習実施機関)で、技能実習が適正に実施されているかを確認・指導する立場にあります。
また、技能実習者が日本で過ごしていくための環境作りのサポートをすることなどが主な業務となります。
技能実習生の依頼から入国・帰国までの流れ
監理団体型による技能実習は、企業(受入機関)と監理団体、そして海外の送出し機関が提携しながら進めていく必要があります。下記の大まかな流れを説明したいと思います。
- 企業が、技能実習生を受入れを依頼する監理団体の選定を行います。決まったら、監理団体へ求人の依頼を行います。
監理団体の選定は、2021年3月1日現在に全国3,245件の監理団体が存在しています。監理団体には、得意な業種や国、日本語教育のサポート体制、監理費の金額など様々な特色がありますので、企業で希望する技能実習生の条件に答えてくれる監理団体を見極める必要があります。監理団体で注意が必要なのは、先に述べていますが、監理団体には「一般監理団体」と「特定監理団体」の2種類があるということです。一般監理団体は優秀な監理団体として在籍する技能実習生を技能実習3号(5年以下)に移行できるのに対し、特定監理団体は3年以下となっています。雇用期間の違いがありますので、長い雇用を検討されている企業は、一般監理団体を利用するのがよいと思います。 - 監理団体による技能実習生の労働条件や職種等の事前審査を行います。
事前審査で問題がなければ、受入企業と監理団体が技能実習生受け入れるために契約を締結します。 - 企業で技能実習生の受入れが決定されます。
企業から「技能実習責任者」と「技能実習指導者」・「生活指導員」を選任する必要があります。
受入れ職種等によっては多少異なりますが、選任にあたり「技能実習責任者・技能実習指導者・生活指導員の履歴書」および「技能実習責任者・技能実習指導者・生活指導員の就任承諾書および誓約書」を外国人技能実習機構への提出が求められ、その職務内容の責務の確認等が行われます。 - 監理団体は、海外の送出し機関に対し、求人を依頼します。
- 送出し機関による技能実習生候補者を募集します。
- 技能実習生候補を現地で面接を行います。
- 技能実習生として受入企業が決定しますと、受入企業と技能実習生との間で雇用契約を締結します。
- 送出し機関による入国前教育を行います。
教育内容は、日本語教育・日本での生活一般知識等1か月以上の期間かつ160時間以上行います。 - 外国人技能実習機構への技能実習計画認定申請を行います。(審査機関2週間~1か月)
- 出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行います。(審査期間2週間~1か月)
- 日本大使館へVISAの申請を行います。(審査期間約2週間)
VISAが交付されれば、日本への航空券の手配を行い出国の日程が確定します。 - 技能実習生が入国
入国審査の際に、技能実習生は在留カードを入国管理官から手渡されます。 - 監理団体による入国後の教育を約1か月~2か月間行います。
入国後教育では、日本語教育・日本での生活し実習が円滑に進めるため科目を受講します。また、入国後の教育中は、技能実習生は国民健康保険や国民年金に加入しなければなりません。 - 受入企業による配置となり、技能実習が開始となります。
技能評価試験
第1号技能実習から第2号技能実習へ移行する場合、技能実習生本人が、【学科】【実技】の技能評価試験に合格していることが必要です。
更に、第2号技能実習から第3号技能実習へ移行する場合、技能実習生本人が、【実技】の技能評価試験に合格していることが必要です。
また、第2号技能実習もしくは第3号技能実習に移行が可能な職種・作業(移行対象職種・作業)は主務省令で定められています。
技能実習生の受入れ数
受け入れ機関の人数枠
・技能実習制度では、受入れ機関の人数枠に制限があり、常勤職員の総数に応じて定められています。
実習実施者の常勤の職員の総数 | 技能実習生の人数 |
301人以上 | 常勤職員総数の 20分の1 |
201人~300人 | 15人 |
101人~200人 | 10人 |
51人~100人 | 6人 |
41人~50人 | 5人 |
31人~40人 | 4人 |
30人以下 | 3人 |
※ 常勤職員数には、技能実習生(1号、2号及び3号)は含まれません。
上記より50人以下の中小企業では3~5人が外国人技能実習生の数となります。
人数枠(団体監理型)
通常の者 | 第1号(1年間) | 基本人数枠 |
第2号(2年間) | 基本人数枠の2倍 | |
優良基準適合者 | 第1号(1年間) | 基本人数枠の2倍 |
第2号(2年間) | 基本人数枠の4倍 | |
第3号(2年間) | 基本人数枠の6倍 |
人数枠(企業単独型)
企業 | 法務大臣及び厚生労働大臣が継続的で安定的な実習を行わせる体制を有すると認める企業 | 上記以外の企業 | |
通常の者 | 第1号(1年間) | 基本人数枠 | 常勤職員総数の20分の1 |
第2号(2年間) | 基本人数枠の2倍 | 常勤職員総数の10分の1 | |
優良基準適合者 | 第1号(1年間) | 基本人数枠の2倍 | 常勤職員総数の10分の1 |
第2号(2年間) | 基本人数枠の4倍 | 常勤職員総数の5分の1 | |
第3号(2年間) | 基本人数枠の6倍 | 常勤職員総数の10分の3 |
- 団体監理型・企業単独型ともに、下記の人数を超えてはならない。
(1号技能実習生:常勤職員の総数、2号技能実習生:常勤職員数の総数の2倍、3号技能実習生:常勤職員数の総数の3倍) - 特有の事情のある職種については、事業所管大臣が定める告示で定められた人数とする。
- やむを得ない事情で他の実習実施者から転籍した技能実習生を受け入れる場合、上記の人数枠と別に受け入れることを可能とする。
技能実習生制度の関係技能実習制度の制度目的は何ですか?技能実習の適正な実施と技能実習生の保護を図り、人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力を推進するという技能実習制度の目的が規定されています。技能実習制度は[…]
まとめ
平成29年11月1日に施行された外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成28年法律第89号)に基づいて、新しい技能実習制度が現在実施されています。
「技能実習制度」で、全国40.2万人(令和2年10月末)が在留しております。法務省発表では、3,245件登録(2021年3月1日現在)の多くの監理団体が誕生しているわけですので、なるべく多くの監理団体に問合せをして色んな特徴がありますので、違いを確認されたが良いと思います。
・一般監理事業の許可 1,661団体・特定監理事業の許可 1,584団体
どちらの制度を活用して外国人材を雇い入れたらよいか2019年4月よりスタートした新しい外国人材の受け入れ制度「特定技能」一体、今までの「技能実習制度」とは何が異なるのでしょうか。技能実習(監理団体型)特定技能(1[…]
技能実習制度と特定技能では、受入れ機関(企業)が負担する費用が異なります技能実習生を雇用するためには、まず監理団体に入会しなければなりません。監理団体型技能実習を雇用する場合は、最初に監理団体に加入しなければなりません。ここで発[…]