介護を支える出稼ぎ移民 子どもたちは母国に残された【朝日新聞2021年4月19日】

「ちゃんと歯磨きしたか、見せてみて」

奈良市の一人暮らしのアパートで、カミル・フェレルさん(33)はスマートフォンに話しかける。ビデオ電話の先は約2600キロ離れたフィリピン北部の小さな町、マラシキの実家。長女ララさん(8)と長男アンジェロさん(5)が、画面の向こうで大きな口を開けた。

写真・図版ビデオ電話で、長女がちゃんと歯磨きをしたかチェックするカミルさん=2021年3月20日、奈良市、玉置太郎撮影

カミルさんは2人を母親に預けて2年前に来日し、奈良県の介護施設で働く。実家への電話は早朝か夜に1~2時間、ほぼ毎日かける。シングルマザーのカミルさんにとって、大切な「育児」の時間だ。

歯磨きチェックは欠かさない。コロナ禍でフィリピンでは休校が続いており、学校の課題をやっているかも確かめる。ちゃんと勉強して成績が上がれば、母親に送金しておもちゃを買い与えてもらう。

写真・図版スマートフォンのビデオ電話で、子どもたちに話しかけるカミル・フェレルさん=2021年3月20日、奈良市、玉置太郎撮影

フィリピンは国民約220万人(2019年)が海外で働く「出稼ぎ大国」だ。カミルさんも海外に出ようと考え、日本で介護福祉士をめざしながら働く、経済連携協定(EPA)の制度を見つけた。

ただ、EPAに基づく介護職は家族の帯同を認められていない。子どもは実家の母親に預けるしかなかった。フィリピンを発つ日、3歳だった長男は泣き続けた。

 働くために来日する外国人が急増する一方、母国に残す子どもの育児や教育の問題が、日本で顧みられることはあまりありません。「残された子どもたち」はどんな状況にあるのでしょうか。フィリピンのネットメディア「ラップラー」と共同で取材しました。

来日してから数カ月間、実家…

朝日新聞デジタル

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