技能実習生が払う法外な手数料 ベトナム政府が身内批判【朝日新聞2021年4月3日】

 

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街角に立てられた技能実習生を募集する看板。「ブローカーは通しません」「国の規定に従った手数料のみ」などと書かれ、飲食や介護、建設などが募集職種になっている=2020年6月13日、ベトナム中部クアンビン省、宋光祐撮影

ベトナム人技能実習生が本国の人材派遣会社に法外な手数料を支払わされる問題について、ベトナムの政府監査院が、担当省庁の不十分な監督が原因だとする検査結果をまとめた。常態化している高額な手数料をめぐって、政府機関の責任が指摘されるのは異例だ。ベトナム側の対応次第では、日本の今後の技能実習制度の運用にも影響する可能性がある。

共産党機関紙ニャンザンなどによると、政府監査院は2012~18年の期間を対象に、労働者の海外派遣を担当する政府機関の取り組みを調べた。3月4日に明らかにした検査結果では、担当する労働・傷病兵・社会問題省について、「海外で働く労働者の正当な権利と利益に適正に関心を払っていない」と批判した。

ベトナムでは海外に派遣される労働者が14年から6年連続で年間10万人を超えている。昨年は新型コロナウイルスの影響で、派遣者数が約8万人に減ったが、日本は18年から3年連続で半数近くを受け入れる最大の派遣先になっている。その大半が技能実習生だ。

日本への派遣は、政府の認定を受けた「送り出し機関」と呼ばれる民間の人材派遣会社が担う。ベトナム政府の規定では、送り出し機関が実習生から徴収できる手数料は上限3600ドル(約40万円)と定められているが、ほとんど守られていない。そのため、実家の土地などを担保に借金を背負って日本へ向かうベトナム人が後を絶たない。

実習生の負担するお金が法外な額になるのは、地方で人材を集めるブローカーの存在に加え、日本側から要求される接待や違法な謝礼に必要な費用がさまざまな名目で手数料に上乗せされるためだ。業界内では、行政機関の関係者らへの賄賂も半ば公然の事実になっている。

今回の検査では、日本の技能実習をめぐる問題が報告されている。労働・傷病兵・社会問題省が「日本側と合意した内容に適合しない訓練費や手数料を規定していることが失踪や不法滞在の原因」と指摘。同省傘下の海外労働管理局が「送り出し機関の手数料徴収の監督ができておらず、長期間にわたって7千~8千ドルの高額な手数料を労働者に負わせる結果をもたらした」と結論付けた上で、責任者の処分を求めている。(ハノイ=宋光祐)

朝日新聞デジタル

 ベトナム人技能実習生が本国の人材派遣会社に法外な手数料を支払わされる問題について、ベトナムの政府監査院が、担当省庁の不…