考える農民 技能実習のあり方=田谷徹 /福井【毎日新聞2021年2月16日】

農園ではインドネシアから技能実習生を受け入れている。3年目の実習生の帰国が近づき、先日成果報告会をオンライン形式で行った。日本人だけでなく、多くのインドネシア人の参加もあり、コロナ禍でオンラインが日常になることで、よりグローバルな社会にもなりつつあるのを感じる。

 さて、その報告会の準備段階で、社内で「技能」について少し議論になった。実習生が身に付ける技能とは、具体的に何なのか、と。そこで、報告会終了後に技能実習生を集めて、彼ら彼女らが身に付けたと思われる「技能」の話し合いの場を設けた。

 農園で実習しているのだから、当然、農業技術や農業経営といった答えを期待していたが、そうではなかった。もちろん農業技術などの技能もあったが、多くが農業以外のことだった。日本語や、日本食などの料理が上手になった、オンラインで買い物ができるようになった、などの生活能力向上のことの方が多かった。

 実習生の技能実習制度に参加する動機は、お金を得ることがもっとも多いが、それと同等に自立も挙げている。その自立を支えてくれるのが、金銭であるが、他方で生活能力の向上もあるのだろう。さらに、技能として、日本人や実習生たちとの人脈を挙げる実習生も多かった。日本に来たからこそ得たグローバルな人脈は、彼ら彼女らの自立に大きく寄与することだろう。

 僕は、技能実習制度には途上国の青年たちの育成の要素がふんだんに盛り込まれていると思っている。技能実習制度を、法令順守や技術習得の技能だけに矮小(わいしょう)化せず、異国での仕事と生活と通じた青年育成を議論の中心に据えていきたいと思っている。(農園たや)

毎日新聞

 農園ではインドネシアから技能実習生を受け入れている。3年目の実習生の帰国が近づき、先日成果報告会をオンライン形式で行っ…