■問題あるが、貧困対策として機能 佐賀大名誉教授、ラタナーヤカ・ピヤダーサ氏

――外国人技能実習制度をどうみていますか。

「2014年から5年かけて、中国、ベトナム、タイなどアジア8カ国の実習生や帰国した元実習生計約1800人にアンケートや面談をして日本での仕事の内容や給料などを聞いた。7割が『日本で得た資金と知識を元に、経済状況が改善した』と答えた。アジアからみれば、貧困対策として機能している」

――実習生の大半は各地域の最低賃金で働いています。

「ベトナム人の元実習生への調査では、日本での月収は12万5千円から16万7千円。ベトナムの平均月収の6倍以上だ。4割弱が100万円から200万円、さらに4割弱が200万円から300万円ためていた。昼夜とも自炊で美容院にも行かないなど切り詰めた生活をして、だが」

「実習生の実家は貧しく、持つものは『労働力』しかない。その労働力をうまく『売る』ことができれば、貧困を減らせる。実習制度はその機会となっている面がある」

――「技能移転を通しての国際貢献」を掲げつつ、実態は低賃金労働力の受け入れになっている現実があります。

「実習生を受け入れている420の会社に聞き取り調査したが、実習生の3分の2が労働集約的な繰り返しの作業に就き、帰国した実習生の約9割は研修と関係ない仕事に就いていた。ただ、日本の会社が組織的に取り組む『5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)』やあいさつの仕方などを学び、帰国後の就職に役立っていた」

――賃金の未払いや長時間勤務など劣悪な労働環境が問題になっています。

「日本に来るまでに、母国で送り出し機関などに100万円近くの手数料を支払っている。職場を変えられない実習生はひどい目に遭っても借金返済のため働き続けないといけない。ブローカーの存在は制度の最大の問題だ」

「企業に労働関係法を守ってもらうには企業まかせにしないことが不可欠だ。コロナ禍で突然、解雇され、住むところにも困る実習生が出た」

――どうするべきですか。

「地域社会に開かれたシステムにすることだ。佐賀大の留学生は衣食住などで困ったときに助けてもらうなど地域住民に守られている。実習生は毎日、工場と会社の寮を行き来し、地域社会との交流がない。実習生の劣悪な労働環境を地域の人が知ったら許さないだろう」(聞き手・織田一)

1951年、スリランカ・ヌワラエリヤ生まれ。スリジャヤワルデネプラ大卒。82年に来日し、東大大学院修士課程修了。85年に龍谷大に入り、90年に経済学博士の学位を取得。97年佐賀大教授、2017年に名誉教授。09年に日本国籍を取得している。

朝日新聞デジタル

 ■問題あるが、貧困対策として機能 佐賀大名誉教授、ラタナーヤカ・ピヤダーサ氏 ――外国人技能実習制度をどうみていますか…