溶接企業、外国人材のいま、コロナ禍で取り組み図る【SANPO WEB2021年2月8日】

溶接をはじめとするものづくり現場で外国人技能者の活躍が目立つ。技能実習生が製造現場で溶接をする姿は、国内の製造現場で日常の風景となっている。その日常が昨年からのコロナ禍で大きな影響を受けている。ものづくり現場の外国人材の現状を取材した。
◇コロナ禍でのケア
自社でも技能実習生を受け入れるとともに、実習生監理団体の運営にも携わる首都圏の鉄骨関連企業の幹部はコロナ禍の影響を「これまでベトナムから正社員や技能実習生を受けいれてきた。昨年はコロナ禍で往来ができなくなり、当初春先に来日できる予定だった実習生が12月にようやく入国することができた」と語る。
慣れない異国でのコロナ禍という点での精神的なケアについては「サポート役となる日本語ができる同じ国の人間が間にいることが重要」とし、この企業では正社員として数年前から採用をしているベトナム人技術者がサポート役をすることで、円滑に業務が進んでいると。
◇海外展開を目指す中小企業
外国人材の雇用は、住居の手配など生活面のサポートが欠かせないなど事前の準備が必要となる。中小企業で外国人を雇用する場合、「日本企業で何をしたいのか」を正確に把握し、自社が求める条件とのすり合わせが重要な要素となる。例えば「日本で溶接技術を学んで自国で生かす」という目的で来日している外国人材の場合は「海外展開」という将来像を描く企業との相性が良い。
新潟県燕市のゴトウ熔接(後藤英樹社長)では「受け入れていたベトナム人が帰国後に学んだ溶接技術を生かす場所を作る」と海外進出の前段階と位置づけて、技能実習生を受け入れている。同社が溶接するステンレスやチタンは素材が高価なため、日本から輸出するよりもベトナムから地続きの中国・韓国に輸出できる環境を用意することで競争力が高まるという。
神奈川県綾瀬市のノーブル電子工業(土橋恒一社長)は、従業員の4分の1が外国人技能実習生。外国人活用による国からの補助や制度の活用が決め手となり、2020年度「春の褒章(経済産業省推薦)」を受章し、大きな社会的信頼を獲得した。
同社ではまず業務を徹底的に体系化し、外国人材が1週間で活躍できるようになる環境を用意した。入荷の検品や出荷前のチェック、現場溶接など、詳細なコミュニケーションが必要となる業務を日本人が担当するフローを徹底したため、技能実習生が3年で帰国をしても、対応ができるという。
外国人材は「期間を限定して日本で働きたい」と来日する人も多いため「残業を希望する人材」と「短納期を実現したい企業」は相性が良い面もある。溶接は機械化しにくい技術の一つでありながら、短納期で急な依頼も多い。急ぎの案件獲得による競争力の向上も外国人材を雇用したことで加速する事業例といえる。
◇法務省特例措置
法務省は特例として、コロナ禍の影響で帰国が困難となった技能実習生に対し、在留資格認定証明書の有効期間や、一時帰国後の実習再開時期の延長措置をとるなどの対策を実施。また希望者には帰国までの一時的な同業種での就労が特定活動として認められる措置も取るなど、企業と実習生への支援策を図っている。
日本では今後も深刻な技能者不足は続いていくとされている。現在65から70歳の年代年間270万人生まれてきたが、2019年の新生児の出生数は86万人。今後は毎年100万人以上の労働人口が減少していく。
中でも高齢化がささやかれる中小企業には労働力不足は喫緊の課題となる。外国人材について「性格が良い」や「頑張り屋」といった抽象的な評価ではなく、外国人材だから活躍できる業務をデザインしていくのが、今後の企業経営層に求められている。

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