帰国困難ベトナム人に仕事を JICAが支援セミナー【朝日新聞2021年2月5日】

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国際協力機構(JICA)などのオンラインセミナーでは在留資格や就職の相談窓口について、杉田昌平弁護士が日本語で説明した。ベトナム語の説明文も掲載された

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国際協力機構(JICA)などは4日、コロナ禍で帰国できず、日本で働きたいベトナム人の就業を支援するセミナーを開いた。仕事が見つかる業種や、在留資格の変更手続きなどについて説明した。技能実習生ら118人がオンライン参加を申し込んだという。

セミナーは、在日ベトナム大使館からの要望を受けたものだ。同大使館によると、コロナ禍で帰国できないベトナム人は昨年12月末時点で2万人いる。多くが働きたいのに働けない状況だという。

セミナーの事前アンケートでは、日本で働きたいのに監理団体が帰国させようとしていた、といった声が寄せられた。

セミナーには食品製造や農業、介護の分野などで、外国人を雇用したい企業19社が協力している。具体的なマッチングをこれから進めるという。

JICA広報は「ベトナム以外の国も要望があれば、外国人支援の枠組みの会員企業と相談しながら検討していく」としている。

JICAは昨年11月、ビジネスと人権問題に取り組む一般社団法人「ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン(アスク)」と協力。官民が連携して外国人労働者を支援する「責任ある外国人労働者受入(うけい)れプラットフォーム」(JP―MIRAI)を設立した。省庁や自治体、企業や監理団体などが連携している。154団体・個人が加盟し、労働組合や弁護士の助言もうける。

JICAなどによる官民連携の枠組み「JP―MIRAI」は、ベトナム人の実習生や留学生らにアンケートも実施した。回答からは、給料が減るなど苦しい状況がうかがえる。

仕事について、「今は働いていない」と答えた人は41.8%、「解雇された」と答えた人は40.2%だった。働いている人のうち、2020年2月以降に給料が「減った」と答えた人は61.1%だった。

生活状況については、38.6%が「会社の寮(複数人で一部屋)」で暮らしている。19.8%が「友人の家(または友人と同居)」、11.9%が「会社の寮(1人部屋)」。「住む家がない」と答えた人も3.9%いた。

食事については、「1日3食満足に食べている」という人は半数で、「1日に2食」が38.2%、「1日に1食」という人も10.8%いた。

「今の生活を続けると、あと何カ月でお金が無くなってしまいますか」という問いには、「あと1カ月以内」と答えた人が39.1%で、「あと3カ月以内」が32.6%、「あと6カ月以内」が21.7%だった。「お金はもうない(ごはんも買えない)」と答えた人も6.5%いた。

自由記述では、次のように日本での仕事を求める声が多かった。「いまの会社では1週間に1日だけ働いている。生活費と家族の借金の返済には足りない。新しい仕事を探したい」「家族は借金がまだたくさんあって困っている。長く日本で働きたい」「ここで就職して成長したい」

在留資格の緩和についての声もあった。「ビザは特定活動(就労不可)で、日本で居住しているだけ。帰国を待っていて、今は4カ月。日本政府は在留資格をもっと緩和して、どんな資格でも簡単に仕事を見つけられるようやって欲しい」

学校を卒業し建設会社の内定をもらった人からは、「学んだ学科と仕事が合わないためビザを申請することが難しい」という声もあった。

監理団体などについての指摘もあった。「全然面倒を見なくて、会社もいい生活用品を支給してくれなかった」「私たちをひどく扱っている。仕事を見つけたいと言っても、帰国するための書類に署名するよう強制しようとした」「他の会社に行きたいが、書類を返さず、難しい」

アンケートは1月20日から2月2日に実施し、99人が回答した。(藤崎麻里)

朝日新聞デジタル

 国際協力機構(JICA)などは4日、コロナ禍で帰国できず、日本で働きたいベトナム人の就業を支援するセミナーを開いた。仕…