<34>ベトナム人留学生を増やすための「国ぐるみのペテン」【日刊ゲンダイ2021年1月29日】

家畜盗難でベトナム人のアパートを家宅捜索する群馬県警(C)共同通信社
家畜盗難でベトナム人のアパートを家宅捜索する群馬県警(C)共同通信社

「アルバイトがなくなって学費が払えない」

北関東の専門学校で日本語教師をしているBさん(30代女性)のもとには、教え子のベトナム人留学生から相談が殺到している。

年末から、留学生たちのバイト先である食品関連工場などでクラスターが相次ぎ発生した。コロナ感染者は留学生が大半だったとみられる。そのため工場側は、PCR検査で陰性となった者を含め、留学生を皆解雇した。Bさんが言う。

「確かに、留学生の感染者は多い。でも『留学生』というだけで、陰性者まで解雇されているんです。しかも留学生へのバイト切りは、クラスターの出ていないスーパーなどでも起こっています」

■学費の分割払いすら認めず

留学生たちは3月までに、来年度の学費70万円を学校に納めなくてはならない。見かねたBさんは学校に対し、学費の分割払いを認めるよう提案した。しかし、学校側の対応は冷たかった。「アルバイトがなくなったから学費を払えないというのはおかしい。留学生は皆、アルバイトしなくても学費を払える経済力があるはずですよね」と指摘されたという。

留学生は専門学校や日本語学校に入学する際、学費の支払い手段が記された「経費支弁書」を提出している。だが、書類の中身はデタラメだ。アルバイトなしでも生活できるよう、つじつまを合わせるため、母国の家族などからの仕送りがあると書かれている。しかし実際には、ベトナムなどアジア新興国出身の留学生で仕送りがある者は少ない。書類にウソを書いて入学しているのだ。

学校側は、それを承知で入学を認める。学費稼ぎのためである。Bさんの学校もそうだ。にもかかわらず、留学生が学費を払えなくなった途端、知らんぷりを決め込む。

留学生たちのウソを黙認してきたのは学校だけではない。彼らの入国時、留学ビザを審査する法務省入管当局や外務省在外公館も同様だ。ビザの発給要件を満たす経済力がないと分かっていながら、偽装留学生にまで入国を認めてきた。日本人が嫌がる人手不足の仕事に従事する低賃金の労働者として利用するためだ。つまり、学校業界のみならず、国ぐるみのペテンなのである。

しかし、コロナで人手不足は緩和した。留学生バイトが不要となる職場も増えた。結果、バイトを失い、生活に行き詰まる留学生が急増している。Bさんは、やり場のない思いをこう話す。

「学校やバイト先は留学生を散々利用しておいて、まさに使い捨てようとしているんです」

学費を払えなければ、学校には残れない。Bさんにこんな言葉を漏らす1年生の留学生がいた。

「先生とは、3月で会えなくなりますね」

学校から姿を消し、不法就労に走る留学生も現れるだろう。コロナで不法就労先すら見つからず、困った末に罪を犯す者も出るかもしれない。それは留学生だけの罪と言えるだろうか。 =つづく

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