<33>企業に使い捨てられる偽装留学生たち…雇用の調整弁に【日刊ゲンダイ2021年1月28日】

コロナで解雇(C)日刊ゲンダイ
コロナで解雇(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルスの影響で外国人実習生が職場を解雇されるケースが相次いでいる。その数は、昨年10月時点で4000人を超えた。

とはいえ、40万人以上に上る実習生の100人に1人程度だ。解雇後に転職先が見つかった実習生も少なくない。また、11月以降だけで5万人近い実習生が新規に入国した。コロナ禍でも、実習生という低賃金の労働者への需要は依然として高い。

一方、そんな実習生に比べて厳しい状況にあるのが留学生だ。留学生は第2次安倍政権が誕生した2012年末以降の7年間で2倍近く急増し、19年末には35万人近くに達した。同政権が「成長戦略」に掲げた「留学生30万人計画」のもと、ベトナムなどアジア新興国から出稼ぎ目的の“偽装留学生”が大量に受け入れられた結果である。

そして今、アルバイトを失う留学生が急増している。北関東の専門学校で日本語教師を務めるBさん(30代女性)が言う。

「うちの留学生も多くがベトナム人ですが、彼らの半数はバイトをやりたくてもできない。そのため『学費を払えない』という相談が殺到しているんです」

Bさんの教え子は、大半が偽装留学生だ。専門学校入学前の2年間は日本語学校に在籍していたが、バイトに明け暮れていたため、語学力が身についていない。それでも学費さえ払えば入学できる専門学校や大学は数多い。Bさんの学校もそうだ。

この学校の留学生の多くは、食品関連など2~3の工場で夜勤バイトに就いていた。ところが年末にクラスターが相次いで発生し、工場は一時閉鎖された。その後、操業は再開されたが、留学生は仕事に戻れていない。Bさんが続ける。

「感染が起きた場所として、留学生たちが工場に向かう送迎バスが疑われました。それで工場側は留学生を警戒するようになって、検査で陰性の子まで解雇したのです。これは明らかな差別です」

コロナの影響で生産縮小を迫られた工場もあるだろう。そうなったとき、企業は最初に留学生バイトを切る。日本人や実習生と一緒に働いているケースでも、真っ先に雇用の調整弁とされてしまうのだ。しかし彼らには、実習生のような転職支援がない。新たな働き口は自力で探さなければならないから大変だ。

そもそも留学生たちは、母国の家族から仕送りを受けていない。それどころか、逆に家族に仕送りをしようと来日しているのだ。バイトを失えば、たちまち生活は行き詰まってしまう。

専門学校で「半数以上」の留学生がバイトを失っているなら、語学力がさらに劣る日本語学校の留学生は、どれほど困っていることか。偽装留学生にとって工場などでの夜勤の肉体労働は、「最後の砦」と呼べるバイトなのである。

Bさんに対し、ベトナム人留学生の一人はこう告げたという。

「(工場側は)またコロナが起こるかもしれないから、もう留学生は要らないって。私たちは使い捨てられたんです」

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 新型コロナウイルスの影響で外国人実習生が職場を解雇されるケースが相次いでいる。その数は、昨年10月時点で4000...…