<31>定期便は運航せず…国内に滞留する帰国困難者は2万人【日刊ゲンダイ】

昨年11月以降に来日したベトナム人は、実習生や留学生を中心に4万人以上に上る。とりわけ年明けから、日本へ出稼ぎに向かう実習生の“出国ラッシュ”が巻き起きた。

緊急事態宣言を受け、政府はベトナム人ら一部外国人に例外的に認めていた入国緩和措置を停止する決定をした。その前に駆け込みで来日しようとしたのである。

ベトナム人実習生たちは現地の送り出し業者に支払う手数料で、100万円近い借金を背負っている。日本で働けなければ借金は返せず、家族丸ごと破産だ。だから日本へ殺到した。

土壇場まで「入国緩和」にこだわった菅義偉首相の本音も、ベトナムなどからの出稼ぎ労働者の受け入れ継続にあったとみられる。コロナで人手不足は緩和したとはいえ、業種によっては依然、低賃金の外国人労働者を求める声は多い。そんな業界の声に応じ、政府は今月13日に「入国停止」を発表して以降も、実習生や留学生の来日は21日まで認め続けた。

こうして短期間に多くのベトナム人が来日した一方で、同じ時期、日本からベトナムへ帰国した者はほとんどいない。帰りたくても帰れないのだ。自民党「外国人労働者等特別委員会」が11月17日付で出した「緊急提言」には、こうある。

「10月の菅総理のベトナム訪問においても、帰国を希望してもベトナム側の検疫事情でかなわず、2万人が国内滞留している事等を念頭に、日越定期便の再開が合意された」

■対策なしの日越政府

だが、日本発の定期便は、当時も今も全く飛んでいない。東京都内の人材派遣会社で働くフンさん(30)が言う。

「定期便はおろか、たまに飛んでいたチャーター便も、11月に日本から到着した便で客室乗務員のコロナ感染が発覚し、運航しなくなったのです」

実はフンさん自身、前の会社を辞め、12月末のチャーター便でベトナムへ帰国するはずだった。しかし、便がキャンセルとなり、慌てて今の会社に再就職した。

「僕の場合は再就職できたのでよかった。だけど、実習生や留学生は悲惨ですよ」

コロナで解雇された実習生は、昨年10月時点ですでに4000人以上に上っていた。こうして失業者が急増しているのに、年末からの約2カ月半で5万人近い実習生が新たに入国しているのだ。

留学生に至ってはさらにひどい。バイトを失い、学費が支払えなくなった留学生が多数いる。仕送りなど望めない出稼ぎ目的の留学生までも、低賃金の労働力として利用するため受け入れてきたツケが、コロナで彼らにはね返っているのである。

それにしても、「2万人」もの在日ベトナム人が帰国困難に陥っているというのに、なぜ両国政府は何も対策を取らないのか。

(つづく)

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