「ベトナム人就労拡大」の旗を振る自民党・二階幹事長【相次ぐ摘発 在日ベトナム人の真実】【日刊ゲンダイ2021年1月20日】

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自民党幹事長就任後の初外遊もベトナム(二階俊博幹事長)/(C)日刊ゲンダイ

【相次ぐ摘発 在日ベトナム人の真実】#27

「令和のキングメーカー」二階俊博・自民党幹事長は、日本で最もベトナムとつながりの深い政治家だ。超党派の「日本ベトナム友好議員連盟」会長を務め、2016年の幹事長就任後、初めて外遊したのもベトナムだった。昨年1月には、旅行・観光業界の関係者ら1000人以上を引き連れ、現地を訪れてもいる。

この訪越団には、田川博己・日本旅行業協会会長(当時)や田端浩・観光庁長官(当時)らの他、森山裕・自民党国対委員長など党幹部、鈴木直道・北海道知事ら6知事も参加した。政治家1人が率いる訪問団としては異例の規模だ。官民挙げての「朝貢外交」ぶりだが、その目的は何だったのか。

日本が最もベトナムから欲するのは「出稼ぎ労働者」だ。一方、ベトナムは日本からの投資や観光客を誘致したい。旅行・観光業関係者を伴っての訪越は、出稼ぎ労働者確保のための「バーター」だったのかもしれない。事実、この頃、日本にはベトナムに頼りたい事情があった。

政府が前年創設した外国人労働者のための新在留資格「特定技能」は、受け入れが全く進んでいなかった。人材の供給源として最も期待されたベトナムが、送り出しを渋ったからだ。日本側の掲げる「悪質業者の排除」という方針が気に入らなかったのである。

そんな中、フック・ベトナム首相と会談した二階氏は、「日本でのベトナム人の就労拡大と、日本で働くベトナム人技能実習生が安心して学べる環境の整備」に努めると述べている。また、「両国政府が悪質業者を徹底的に排除することで一致した」とも強調した。

その後、特定技能の送り出しを含め、「ベトナム人の就労拡大」は実現した。だが、「実習生が安心して学べる環境」の整備が進まなかったことは、現在のコロナ禍における在日ベトナム人たちの苦境が証明している。また、肝心の「悪質業者」の排除も進んでいない。

■監理団体の特別顧問

二階氏の影は、ベトナム人労働者の受け入れや政策現場でもちらつく。二階氏の前の日越友好議員連盟会長である武部勤・元自民党幹事長は現在、実習生受け入れの監理団体代表をしている。二階氏はその団体の特別顧問だ。そして、自民党で外国人労働者政策を議論する委員会のトップを務める片山さつき・参院議員は、二階派の一員だ。

二階氏がベトナムに執心するのは結構だが、出稼ぎ労働者たちは現地の送り出し業者や腐敗官僚、日本側の監理団体などの食い物になり続けている。二階氏ほどの実力者であれば、何より現状の改善に力を尽くすべきだろう。しかし、現実にはベトナム人労働者の数を確保することばかりが優先されている。低賃金の外国人労働者を欲する産業界の意向が反映されてのことだ。

実は、自民党にはもうひとり、“ベトナム好き”の政治家がいる。菅義偉首相である。=つづく (出井康博/ジャーナリスト)

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