水際対策、右往左往 首相肝いり裏目 ビジネス入国【朝日新聞2021年1月14日】

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政府が外国人の新規入国停止に踏み切った。菅義偉首相はビジネス入国の継続にこだわりをみせてきたが、与野党や世論の批判に押され、方針転換を余儀なくされた形だ。首相官邸の対応に政権内からも、「後手後手」「右往左往」などの批判があがった。

「変異株が出て、国民の不安が相当ある。全面停止すべきではないか」「緊急事態宣言を出して不要不急の外出を控えてくれと言う一方、外国の方が入ってくるのは非常に分かりにくい」。13日の衆院内閣委員会では、与野党がそろって即時入国停止を求めた。

新型コロナの変異ウイルス拡大を受け、政府は昨年12月28日、全世界を対象とした入国緩和策を停止。その後も、中韓やベトナムなど11カ国・地域からビジネス関係者などの入国を認める仕組みは維持した。

緊急事態宣言の発出に向けて、内閣官房や関係省庁は1月4日、11カ国・地域からの入国も全面停止する方向で検討に入った。ところが翌日、首相の強い意向を受けて一転して受け入れ継続が決定。変異ウイルスの市中感染が確認された国・地域ごとに停止するという方針で臨んできた。

首相のこだわりの背景には、技能実習生らの受け入れ継続を求める経済界の声が強いことがあったとみられる。11カ国・地域は感染状況が落ち着いているとして政府が選んだ経緯もあり、政府内には「安全なところとやっている」(首相)との主張もあった。

政府は8日、日本人を含めた全入国者を対象に検疫を強化する方針を発表した。だが、その後も批判はやまず、自民党の佐藤正久外交部会長は12日、「外国人の入国は止めているのに、ビジネス関係者は例外として入れる。二重基準であり、説明にもなっていない。水際対策ではなく、水浸しだ」と述べていた。

結局、首相肝いりの観光支援策「Go To トラベル」と同じように、こだわった末に見直しに転じた。政府高官は首相の対応をこう批判した。「とことん進んで急ブレーキを踏むから、振れ幅が大きくなる。右往左往している」

朝日新聞デジタル

 政府が外国人の新規入国停止に踏み切った。菅義偉首相はビジネス入国の継続にこだわりをみせてきたが、与野党や世論の批判に押…