密着 望郷の春巻きに涙、コロナ禍にナゼここで年越しベトナム人【TBS NEWS2021年1月5日】

新型コロナの感染拡大で解雇や雇い止めが相次ぐなか、低賃金の労働で日本経済を支えていた外国人労働者たちが行き場を失っています。お金もなく、住む場所もなく、母国に帰ることもできない、そんな若者たちの年越しに密着しました。

大みそかの夜、慣れた手つきで、春巻きを作る若者たち。コロナ禍に外国人の姿が消えて久しい東京で、とあるお寺に集まっていたのは、ベトナム人たちです。

「家族を思い出します」
「懐かしくなって、すぐ帰りたくなってしまいます」

彼らはなぜ、このコロナ禍に、日本のお寺で年を越すのでしょうか?

「仕事なくしました。技能実習生です」(元技能実習生 クオンさん)

「技能実習生」の多くは、日本人が敬遠しがちな厳しい環境の現場で、低賃金で働く外国人労働者です。

クオンさん(25)は、3年のビザを取得して文房具工場で働いていましたが、わずか3か月たった去年4月、コロナの感染拡大で業績が悪化するなか、突然、解雇されたといいます。行き場を失い、NPO法人が運営するこの施設に身を寄せました。

「毎日、1回食べるだけ。もうすぐ死んでいたと思います」(元技能実習生 クオンさん)

解雇された当時の所持金は、5万円。給料のほとんどは、闘病中の父親のため、ベトナムに仕送りしていたといいます。年越しを前に、その父親にテレビ電話をつなぎました。

「今日はお正月なので、みんなに会いたくて。日本は1人で寂しいです」(元技能実習生 クオンさん)
「お金は問題じゃないよ、一番大事なのは安全でいることだから。分かるかい?」(父)
「はい」(元技能実習生 クオンさん)
「コロナが終わって、日本で仕事がなかったら、ベトナムに帰ってこいよ」(父)

厚労省によると、コロナの影響で職場を追われた外国人技能実習生は、去年、全国で4794人。クオンさんのように行き場を失った外国人が、1週間に100人のペースで増え続けています。理不尽な境遇に苦しむのは、技能実習生だけではありません。

「仕事もない、住む所がない 、いろいろ生活用品もない」(元留学生 アインさん<仮名>)

留学生として来日し、学校に通いながらアルバイトをしていたアインさん(23)。去年5月、新型コロナの影響で勤め先の飲食店から解雇されました。ビザの期限も切れたため、ベトナムに帰ろうと、11月には、自ら入管庁に出頭します。

「私は仕事がなく、生活費を払うお金もありません。ベトナムへ帰りたいです」

しかし、ベトナムへの航空便は、コロナ禍の今、月に数便しかなく、安いチケットはありません。

「チケットの値段は高いです。払えません。23万円くらい」(元留学生 アインさん<仮名>)

仕事もなく、お金もなく、住む場所もなく、母国に帰りたくても帰れない。そんなベトナム人たちの“駆け込み寺”となっているこのNPOの施設では、およそ30人が年を越しました。

「(日本の)国策で技能実習生を受け入れている以上、何か災害が起こったときや、このコロナみたいなことが起こったときに最後まで面倒見るのは国の責任だと思うので、日本人だろうが、外国人だろうが、区別することなく支援をするべきだと思います」(NPO法人日越ともいき支援会 吉水慈豊代表)

通常、オーバーステイなどで滞在を続ければ、入管施設に収容され、強制送還となりますが、コロナ禍の今、入管庁は、収容施設から一時的に解放する「仮放免」という措置を積極的にとっています。「仮放免」となった外国人は、直近で統計のある去年4月だけで563人。前の年と比べおよそ4倍に当たります。就労資格がないまま、母国に帰ることもできない外国人が日本国内に増え続けているのです。

「もうすぐベトナムのテト(旧正月)ですから。この料理食べるとき、すぐ家族を思い出します。もう泣きそうでした」(元技能実習生 クオンさん)

入管庁によりますと、新型コロナの影響で帰国が困難になっている外国人は、技能実習生だけでも3万5000人、留学生では1万2000人にのぼるということです。(05日15:48)