農業の外国人材 実習生依存は続けられぬ【信毎web2020年11月24日】

佐久地域の野菜農家にベトナム人労働者をあっせんした大阪市の会社が賃金を中間搾取したとして、代表社員らが書類送検された。

5月から8月にかけて約230人を120戸ほどの農家に送り込み、総額約2100万円を不当に得た疑いだ。

規模の大きな農家は毎年、農繁期の労働力を外国人技能実習生に依存する状態が続く。今年は新型コロナウイルスの感染拡大で新規実習生が来日できず、仕事が回らない危機感が募っていた。

そんな状況に付け込まれた事件である。送り込まれたのは、全国各地の実習先から失踪した実習生だった可能性がある。劣悪な労働環境から逃げ、困窮する実習生は後を絶たない。大阪の会社はインターネットで募っていた。

行き場を失う外国人を生み出す実習制度と、安価な外国人労働力に頼ることで成り立つ大規模農業の在り方が問われている。

農家は、県農協グループからこの会社を紹介され、ベトナム人の派遣を受けていた。地域で信頼のある農協の活動が事件につながった責任は重い。なぜ見抜けなかったのか。経緯を検証すべきだ。

技能実習は本来、途上国の人が日本で技術を習得し、母国の発展に役立てる国際貢献制度だ。

その実態は、農業に限らず製造業など日本の産業を広く支える労働者の調達制度である。原則転職できない弱みがあり、賃金未払いや長時間労働になりやすい。

年々増え、11年の約13万人から19年には約38万人になった。特にベトナム人が増えており、同年は約19万人と半数を占める。

実習生の失踪数は、14年の4847人に対して19年には9052人とほぼ倍増している。

大規模な野菜産地では長く、労働力の確保が課題となってきた。かつては日本人のアルバイトを確保できたが、仕事のきつさなどが敬遠され、次第に外国人技能実習生が主力になった。

農協や事業者団体は今年、仕事の減った異業種の人材を一時的に農業に結び付けるマッチング事業などに取り組んだ。コロナ禍の先を見据え、抜本的な人手確保策を検討しなければならない。

国は昨年、労働者と位置付けて日本人と同等以上の報酬などを定めた「特定技能」という新たな外国人在留資格を設けた。

政策転換とも受け取れる一方、技能実習の制度は温存された。本来の目的から懸け離れた制度を、このまま都合よく使い続けることはできない。

信濃毎日新聞デジタル

 佐久地域の野菜農家にベトナム人労働者をあっせんした大阪市の会社が賃金を中間搾取したとして、代表社員……