奮闘するベトナム人介護士 ふたつの国を担う…現場で育つ”若い芽”【広島TSS2020年11月23日】

 

 

 

 

高齢化や少子化による働き手の減少で外国人材は必要不可欠な存在です。先月からコロナ禍で足止めされていた技能実習生などの入国が解禁となり、2人のベトナム人実習生が広島の病院で働き始めました。

異国の地で奮闘する2人を通して日本とベトナムの介護の未来について考えます。

秋も深まりはじめた先月15日。廿日市市の大野浦病院で季節外れの入職式が行われました。
入職したのは2人のベトナム人、グエットさんとハンさんです。2人は技能実習制度で日本に介護を学びにきたのですが新型コロナウイルスの影響で来日が延期に。入国制限の緩和を待って半年遅れでの入職となりました。

【ハンさん】
「コロナウイルスのせいで日本に来るのが遅くなりました」「今日は嬉しくてやる気でいっぱいです」

【グエットさん】
「高齢者の介護の仕事はとてもいい仕事と思う日本の介護は発達しているので日本の介護の技術を学びたい」

来日できない期間2人はベトナムで日本語の勉強などをしていましたが介護はまったくの未経験。一から介護のいろはを学んでいきます。

【実習の様子】
「あーもう立ちそう」「山中さんちょっと待ってね」「待ってねってグエットさん」「はい」

グエットさんが車いすを準備する前に患者が自分で立とうとしました。これだと転倒する可能性がでてしまいます。

【指導の様子】
「立つ前にちょっと待ってください」「どうしても立とうとするからね」

それでも持前の明るい性格と真面目に取り組む姿勢から2人はすぐに患者たちの人気者に。

【患者】
「なかなか良いですよ。言葉もちゃんと覚えたし何でも聞いてくれるし良いですよ」

今年初めて外国人実習生を受け入れた大野浦病院。背景にあるのは介護士不足です。厚生労働省は団塊の世代が後期高齢者となる2025年には介護人材は37万7千人不足するという試算を出しています。

【大野浦病院パートナーシップ推進室・松原かほり室長さん】
「今人出不足というのはある。難しい状況なので日本人の募集はかけているが日本人だけでなくて将来的には少しずつ外国の方も一緒に働くというのが必要になってくるというのは実感としてある」

高齢化の波はベトナムにも押し寄せていて、現在10人に1人の割合の高齢者も2035年には5・4人に1人の割合になると予想されています。
しかしベトナムでは家で看取るという考えが根強く介護施設はほとんどありません。そのため介護技術は日本から遅れを取っていますが急速に進む社会の高齢化に介護の重要性は高まっています。

【ハンさん】
「ベトナムへ帰ったら家族を介護するつもり」

【グエットさん】
「将来はベトナムで介護施設がたくさんできると思う」

2人は3年間病院の寮で共同生活し介護現場で働きながら知識や技術を身に着けていきます。仕事がある日も休みの日も日本語の勉強は欠かせません。患者とのコミュニケーションが欠かせない介護士は要求される日本語能力も他の技能実習生に比べて高くなっています。

【勉強の様子】
「あらわしている?」

3歳年上のハンさんがグエットさんのお姉さん代わり。グエットさんが分からない日本語を教えることでハンさん自身の日本語力も高くなっていきます。

【グエットさん】
「私は漢字は苦手ですがハンさんは得意です」
【ハンさん】
「初めて勉強することは難しいですね」「でも勉強して毎日使って段々難しくなくなる」

来年以降も新たな実習生を受け入れる予定の大野浦病院。職員と実習生それぞれが文化の違いなどを理解し相談できる環境にすることが不可欠です。

そこで簡単な日本語を使って楽しく遊びながらコミュニケーションの活性化をはかるイベントを開き2人も参加しました。まだ会ったことのない職員もいましたがすぐに打ち解けられたようです。

【大野浦病院パートナーシップ推進室・松原かほり室長さん】
「今日みたいな場があると表情に気を付けたり、自分から少し声をかけやすくなったりとかあるのでその辺の距離が縮まったのはよかった」

【研修に参加した職員】
「彼女たちが来ることで雰囲気が良くなったのは事実なので、そういうのを継続していったら今後入ってくる人も楽しく学べることができる」

【患者】「ありがとうね」

介護士不足という問題に直面する日本とベトナム。共に助け合い前に進んでいくことで2つの国を担う若い芽は着実に育っています。