介護現場 人手不足に追い打ち【新潟日報2020年11月19日】

感染禍 外国人受け入れストップ

介護施設で利用者と談笑するベトナム人技能実習生=上越市

介護施設で利用者と談笑するベトナム人技能実習生=上越市

新型コロナウイルスの感染拡大による入国制限の影響で、新潟県内の介護施設で働く外国人技能実習生や留学生の受け入れがストップしている。慢性的な人手不足に悩む介護現場では、外国人の人材に大きな期待を寄せているだけに、打撃を受けている。制限は10月に一部緩和されたものの、ウイルスの収束が見通せない中、来日を中止する人も出てきており、先行きは不透明だ。

「ゆっくり飲んでね」。10月下旬、上越市の「ショートステイだいにち」で、ベトナム人技能実習生の女性2人が、お茶を飲む利用者に優しくほほ笑んだ。

施設を運営する総合福祉サービスの「リボーン」(上越市)は2019年11月、ベトナムから6人の技能実習生を受け入れた。20年は12人が来日予定だが、新型ウイルスの感染拡大のため、なお入国できない状態が続いている。

業務本部の江口義幸本部長(39)は「介護の仕事をしたい人が少なくなり、絶対的な人手不足。職員の高齢化も進んでおり、外国人の力を借りないと現場は厳しい」と指摘。新型ウイルスが長期化する中、来日中止を告げてきた人もいたといい、「いつ入国できるか分からない中、また辞退されるのではという不安がある」と声を落とした。

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外国人が介護分野で働くには(1)経済連携協定(EPA)に基づく受け入れ(2)技能実習生(3)介護の在留資格(4)特定技能-などが主な条件となる。技能実習は当初、農業や製造業が対象だったが、2017年に「介護」が追加された。

介護の在留資格取得を目指す留学生にも影響が及んでいる。

新潟医療福祉カレッジ(新潟市中央区)には、県内の日本語学校などで勉強した後に入学することになっている。2年間の学習期間を経て、国家資格「介護福祉士」を取得し、県内の介護施設で働く計画だ。

今春、日本語学校に入る予定だった外国人の多くは、本国でのオンライン授業が続いた。10月に入り、ようやくモンゴルなどから留学生が来日し始めてきたという。同カレッジで就職・留学生を担当する山田允宣(まさのり)さん(41)は「ワクチンができるまでずっと来日できないのではという不安があった」と話した。

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「せっかく新潟に来てくれた外国人に手厚い支援をしようと考えているが、それもできずに、歯がゆい思いだ」。県高齢福祉保健課の若杉直樹課長は肩を落とす。

県内では介護人材の不足が深刻化している。25年に必要とされる介護人材は約3万7千人で、年間約900人の職員確保が必要となる。施設・事業所の約6割が人手不足を感じているだけに、外国人人材への期待は大きい。県も受け入れる施設を後押ししようと、研修の実施や財政支援を強化している。

だが、新型ウイルスの影響で、来日者数や留学希望者数も減少傾向で、今後の状況は見通せないのが実情だ。若杉課長は「21年度以降、どのくらいの人が来てくれるかは分からない。介護業界は厳しいが、人材確保対策にしっかりと取り組みたい」と述べた。