外国人労働者を待つ農家の苦悩 国が理解してくれれば…【日刊ゲンダイ2020年11月8日】

ハーバーツ代表の高橋美都子さん(C)日刊ゲンダイ

【コロナ禍の現場から】

「ハーバーツ」代表 高橋美都子さん(2)

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、日本で働く外国人労働者の大量解雇や在留資格の申請の遅れなどさまざまな影響を及ぼしている。

「つい最近までは申請手続きが(オリジナルの文書提出を求める)原本主義だったので、海外とのやりとりにかなり苦労しました」と話すのは、日本企業に外国人の人材紹介をしている「ハーバーツ」代表 高橋美都子さんだ。

海外から紹介する人材は主にミャンマー人やインド人。

「現在、ミャンマーは旅客航空便が飛んでいないため、日本で働くための必要書類の原本を国際郵便で出せなかったんです。コロナの影響で在留資格認定証明書の有効期間は3カ月から6カ月に延長されているとはいえ、期間内に入国しなければ無効になる。せっかく揃えた書類も切れたらまた面倒な手続きをイチからやり直さなければならないため、ビザ申請が間に合うかドキドキの日々でした」

10月中旬からようやく電子申請ができるようになり、11月に期限が切れる予定だった申請はまさにギリギリ間に合った。現在はホッと胸をなで下ろしている状況だ。もうひとつ、入国の際の措置にも疑問があるという。

「入国後、14日間の待機義務などで発生する想定外の経費は頭の痛い問題です。空港から滞在先までの移動は公共交通機関を利用できません。農業の仕事で来る場合などは遠方まで何らかの手段で送らなければならない。空港近くのホテルで待機しなければならないとなると、多額になる宿泊代を誰が払うのか。雇用者の負担になるコストの問題はいろいろあります」

来日できず現地で足止めされているミャンマー人を半年も待つ雇用主の農家もいるという。

「5月の田植えに間に合わず、もう収穫も終える時期になってしまった。来日したとしても冬は農作業がない。それでも『将来を託す人材だから冬の間にいろいろ教えたい』と言います。農業や介護などは大変な作業も多く、日本人はすぐ辞めてしまう。長く一緒に働ける人材、できれば後継者になってほしいという気持ちで外国人を迎えようとしているのです。国がもう少し理解を示してくれればいいのですが」

インド政府の奨学生として留学経験もあり、外資系企業のほか、政府が推進するASEAN諸国の事業に参加するなど仕事で海外生活が長かっただけに、こうも指摘する。

「日本はまだ多文化共生が根付いていないと思います。昨年から開始した特定技能の制度も業種によって担当官庁が縦割りで責任の所在が分かりにくい。少子化が進む日本の労働力不足は深刻です。日本で働きたい外国人が気持ちよく仕事をして定着してもらうためにも、雇用システムを改善する必要があるのではないでしょうか」 =この項おわり

(取材・文=肥田木奈々)

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