【ミャンマー】ミャンマー人材の渡航再開[経済]【47news2020年11月4日】

【ミャンマー】ミャンマー人材の渡航再開[経済]

日本とミャンマーの両政府が、新型コロナウイルスの影響下で長期滞在者の相互往来を認める「レジデンストラック」実施で合意したことを受け、ミャンマーから日本への人材送り出しが静かに始まった。業界関係者によると、日本での就職が内定しながらも、新型コロナの影響で足止めされていたミャンマー人材は3,500人以上。航空便の運航がまだ限定的な中、少しずつ日本に向かっている。

電気・電子情報関連産業の特定技能資格者としてミャンマーから日本に到着した、ウイルテックの10人=10月9日、大阪(同社提供)

日本とミャンマーは8月、茂木敏充外相とアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相との会談でレジデンストラック開始に合意した。これを受け、新型コロナの影響で停止していた日本政府によるビザ(査証)発給が再開。9月下旬に最初の渡航が実現した。現在、日本とミャンマーを結ぶ国際線は不定期に飛ぶミャンマー人帰国のための救援便に限られるが、12月からは、全日空(ANA)がヤンゴン発成田空港行きを週1回定期運航する。

ANAは9月下旬以降、救援便の折り返しでヤンゴン発成田空港行きの便を5回運航したが、エコノミー約170席は毎回、ほぼ満席だ。ミャンマーの送り出し機関でつくる団体の関係者によると、日本企業に就職が内定した後、新型コロナによる規制で渡航できていないミャンマー人は、9月末時点で約3,600人。就労者と同時にビザ発給が再開された留学生も訪日を急いでおり、チケット争いは熾烈だ。

■日本で早く働きたい

ミャンマーでは新型コロナの影響で失業者が増えている。「対象者は早く働いて給料をもらいたい。しかし、語学の勉強だけを続け、日本行きを半年以上も待っている」と、送り出し機関のひとつ、ミャンマー&ワールドワイドサービスのエイプリル代表は言う。同社も3月以降に送り出しを阻まれた介護、製造などで働く予定の約600人の送り出しを控える。

これまでに新型コロナ下で訪日を実現したミャンマー人材の数は明らかではないが、一部は既に現場に入り始めた。メーカーを顧客に受託製造事業を行うウイルテック(大阪市)では10月9日、新型コロナ後で初となるミャンマー人材10人が成田空港に到着。当初計画からは約1年遅れた。いずれも同社で以前、技能実習生として3年間の来日経験があり、電気・電子関連産業の特定技能資格への移行者という。関西地方の工場で小型電池の製造を担う。

中部エヤワディ管区出身のニ・ニ・リンさん(31)は、ヤンゴンに夫を残し、単身で来日した。「夫と離れて暮らすのは寂しいが、新型コロナでミャンマー経済は落ち込んでいる。日本で事態が落ち着くまでお金を稼ぐ」と話す。ウイルテックには、この先も3便ほどに分け、約30人が来日する。

■需要低調も、再び増加を予測

村上真司海外事業部長によると、日本国内での外国人材の需要は、新型コロナ前ほど旺盛ではない。「1年ほどは低調が続く可能性もあるが、長期的には安定的に働ける外国人材の引き合いが増えるとみている」と話す。現在、全社で8%の外国人比率を、ミャンマー人を中心に10%に引き上げる計画だ。

同社は、新型コロナ下で失業の危機にある日本国内のミャンマー人を対象に、農業分野の特定技能資格を得るための無料セミナーも開始。「野菜の収穫などで人手が足りない農業分野と、国内にいるミャンマー人材のマッチングを支援したい」(村上部長)という。

日本の法務省統計によると、日本国内に住むミャンマー人の在留資格者数は2019年末で約3万2,000人。このうち6割が技能実習生、特定技能資格者、高度人材として日本国内で就労していた。ベトナムやインドネシアに比べれば少ないが、12年との比較では約18倍に増えている。

ミャンマーで昨年10月に行われた特定技能の海外試験の様子。今年4月以降は新型コロナで技能実習生を含む日本での就労予定者3,600人程度が足止めされた=ヤンゴン(NNA)

<メモ>

日本とミャンマーのレジデンストラックでは、ミャンマー人の日本行きの門戸が開かれた一方、日本からミャンマーへの渡航は今なお救援便による特別入国者に限定されている。ミャンマー国内での新型コロナ感染拡大が収束していないことなどが背景。ミャンマー側は、特別入国の対象者を除く全ての海外からの入国者に対し、ビジネス用途を含むビザ発給を停止している。

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日本とミャンマーの両政府が、新型コロナウイルスの影響下で長期滞在者の相互往来を認める「レジデンストラック」実施で合意した…