行き場を失った外国人労働者 国の母親に電話し泣いてます【日刊ゲンダイ2020年11月1日】

ハーバーツ高橋代表(右)/(C)日刊ゲンダイ
ハーバーツ高橋代表(右)/(C)日刊ゲンダイ

「ハーバーツ」代表 高橋美都子さん(1)

 新型コロナウイルスのパンデミックは世界の日常を奪った。都市のロックダウンや外国人の入国拒否などで人々の往来はストップし、経済は崩壊寸前。日本は最近になって入国制限緩和が段階的に進んでいるが、本格的な冬を迎えるこれからはインフルエンザとのダブル流行など状況の悪化で変更も考えられる。

先の見えない不安に頭を抱えるのは、当然ながら日本人だけでない。日本で働く外国人労働者も同じだ。

即戦力の外国人を人手不足の日本企業に紹介している「ハーバーツ」代表・高橋美都子さんが話す。

「内定をもらっていても来日前にコロナが流行して足止めされたり、内定自体が取り消されたりする場合も。今年2月ごろから影響が出始めました」

昨年9月から人材紹介の事業に取り組んでいる。日本の深刻な労働力不足に対応するため、昨年4月に施行された外国人の在留資格「特定技能」の制度を受け、新たなビジネスチャンスとみて始めた新規事業だ。日本で働きたい外国人と、受け入れる企業をサポートする「登録支援機関」に認定され、「特定技能」では主にミャンマー人、他にインド人などのエンジニアを紹介している。

「昨年の秋から順調に事業が動き始め、飲食や宿泊関係などニーズが広がったところにコロナが感染拡大、パタリとニーズがなくなりました。さらに手続きの保留で来日できない外国人も多くなり、出はなをくじかれた感じです」

すでに日本で活動する外国人も紹介しているが、母国に一時帰国している間にコロナで戻って来られなくなり、そのまま解雇される例もあったという。

「この数カ月、国内で仕事がなくなった外国人はたくさんいます。特に深刻なのは自動車関連。派遣のエンジニアなど大量に解雇されています。転職するにしてもビザが切れる前に探さなければならず、国のお母さんに毎日電話して泣いている人もいます」

もちろん日本人の失業も深刻になっているが、異国で働く手続きの複雑さや文化の違いを考えると、彼らの不安は深く大きい。

「日本の派遣会社から解雇されたインド人の若者が職を求めて私の会社にもずいぶん来ました。理系大学を卒業したばかりの彼らはもともと派遣会社がIT企業などに就労させるため現地から連れて来て、日本で育てようとしていたのです。だからまだスキルも経験も浅い。日本で働くにはある程度の技術がないと難しいので、転職に苦労するのです」
それでも日本で働きたいのは、帰国しても仕事がないという現状もあるが、「安全で衛生的。何より日本が好きだから」と話しているという。

「コロナ禍の失業は誰のせいでもないけれど、日本に悪い感情を持って帰ってもらいたくない。人材紹介はその人の人生を決める仕事。彼らが幸せになるよう、時に慰めたりアドバイスしたり、愛情を持ってケアしています」 =つづく
(取材・文=肥田木奈々)

日刊ゲンダイDIGITAL

 新型コロナウイルスのパンデミックは世界の日常を奪った。都市のロックダウンや外国人の入国拒否などで人々の往来はスト...…