裁判所も「技能実習生制度」に警告発す!〜ベトナム人除染労働事件で和解【レイバーネット2020年10月28日】

「話がちがう、しかも危険な仕事」。2015年、鉄筋施工・型枠施工の技術修得の目的で福島県にやってきたベトナム人技能実習生に待っていたのは、まったく関係のない「除染作業」だった。安全教育もなく被ばく労働を強いられた。この20代・30代の若者たち3人は、疑問をもち全統一労組に駆け込んだ。そして組合に入り、2019年9月に除染作業慰謝料(総額1247万円)を求めて、建設会社(日和田)を相手に、福島地裁に裁判を起こした。本人たちは帰国したが、弁護団・支援者が裁判を支え、2020年10月23日に和解が成立した。29日、その発表記者会見が厚労省で行われた。

 

和解内容は「会社は原告らに合計171万円を払え」というものだが、裁判所は和解案文書にはっきり「除染作業は技能実習制度の趣旨目的に沿わないものであり、技能実習制度は制度の趣旨に沿って運用されなければならない」と明示した。弁護団は「裁判所が和解案でこう書くのは異例で、踏み込んだ内容であり、判決と同じくらい価値がある」と高く評価した。司法も実態を見て「技能実習制度はおかしい」と言わざるをえなかったのだ。
原告の一人Gさんは、自筆の日本語のメッセージを寄せた。そこには「裁判が解決してとてもうれしいです。日本で働く実習生が安心して働いてほしいです。みなさん、ありがとうございました」と書いてあった。

一貫して支援してきた「移住者と連帯する全国ネットワーク」の鳥井一平さん(写真)は、「立ち上がった三人に感謝したい。そのことで、世の中に現実を知らしめ警鐘を鳴らした。外国人労働者が声を上げ、われわれに権利を教えてくれたのだ。感謝している」と強調した。そして「技能実習生制度は廃止以外にない。一分一秒も早く廃止すべきだ」と訴えた。
記者は「この裁判の影響で、他の業者を含め改善されたのか?」と質問した。答えは「行政の除染作業禁止の通達を引きだしたり、法務省が調査をやることになったが、限定的で不十分なもので、本当の実態はまだまだ明らかになっていない」とのこと。技能実習生のめぐる闇はとても深い。(M)