外国人と生きる 失踪の陰で】(4)ビジネスの歯車止まらず 多額借金、実習生に【47NEWS2020年9月4日】

技能実習生は多額の借金を背負って来日する。手数料を取るブローカーや、関係者同士の接待が借金をさらに膨らませている。
実習生や留学生だった人が送り出しビジネスの一翼を担うことも多い。歯車は止まらず、実習生が増え続ける。

▽成功
ハノイ市内にある技能実習生を日本へ送る研修機関。3階建てビルの手狭な教室の壁に戒めの言葉を書いた紙が張られていた。「失踪しない」「うそを言わない」―。

日本の建設会社で3年間働いた元実習生のマインさん(25)=仮名=が2月、案内してくれた。
この教室で学び、日本で約200万円をためた。今はブローカーとして関わっている。「1人紹介すると僕は10万円もらえます」

実習生を送り出し機関へ紹介し、日本行きが決まれば手数料が入る。
「最近はみんな情報に詳しくなり、人集めが難しい。実習生は借金が多くて大変だけど、頑張るしかない」と割り切った口調。
「自分は日本で成功した。だからみんなを応援したい」と笑う。

▽接待
「社長さん、もっと飲みましょう」。ハノイの歓楽街のキャバクラ店内に、若いベトナム人女性の笑い声が響く。
技能実習生の面接のため出張してきた日本の監理団体の担当者に対する接待が行われていた。
送り出し機関は実習生を日本へ派遣しないと事業が続かない。失踪者が出れば業界内で信用を失ってしまう。
このため、実習生を適正に処遇する優良な企業と付き合いがある監理団体と関係を深める動きが加速しているようだ。

こうした接待費は実習生が支払う手数料に加算され借金が跳ね上がる。
「接待しない送り出し機関は選ばれない。そうなると実習生も日本へ行けません」。
キャバクラを経営するズンさん(27)=同=が言い切る。研修機関の元職員でもあり、実習生ビジネスの事情をよく知る人物だ。

▽もうかる
年約千人を日本へ派遣する大手送り出し機関。営業担当の女性(28)が関連費用の内訳を教えてくれた。
総額は最大約100万円に達するという。そこにはブローカー手数料(約10万円)や接待費、査証(ビザ)取得手続き代行料、研修費が含まれる。送り出し機関への手数料も入っている。

「みんながもうかるからこそ安定して人を送り出せる」。女性はこう付け加えた。「当社が関係した実習生の7割は、帰国後に再び日本を目指します」

(共同=泊宗之、千葉響子)

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