[社説]外国人が働きやすい農業に【日経新聞2020年7月18日】

新型コロナウイルスによる混乱は日本の農業の構造問題も浮き彫りにした。現場の仕事を外国人に頼らざるを得ない実情だ。
人手不足を解消するメドが立たないことを踏まえ、外国人が働きやすい環境を整える必要がある。

コロナの影響で入国できない外国人は、技能実習生を中心に農業分野で2500人に達する恐れがある。
観光関連で働いていて仕事が減った外国人や日本人などを農場で雇用することで、急場をしのいで生産を続けている。

農業で働く外国人は2019年で約3万5千人と、5年間で2倍に増えた。
技能実習生は人手不足を補うための手段でないのが建前だが、実態は労働力として頼っていることが改めてはっきりした。
働き手が足りないのは農業が抱える構造問題であり、外国人を必要とする状況は今後も続く。

外国人はもはや安価な労働力ではなく、農業を支えて生産基盤を守る一員と考えるべきだ。
そこで必要になるのは、様々な問題が指摘される技能実習生ではなく、外国人が働きやすい特定技能という枠で受け入れることだ。

技能実習生の問題は制度が硬直的な点にある。
一つの農場で学ぶのが原則のため、冬に仕事のない地域は秋までに実習を終えて帰国してもらうしかない。
その結果、春先に実習生がコロナで入国できなくて困った農場も多い。

コロナ後を見据え、19年にできた特定技能制度を長期的な視点から積極的に活用すべきだろう。
特定技能の資格なら仕事の繁閑に応じて働く産地を変えることも可能になる。
技能実習と違い、しばらく帰国してから再入国して働くこともやりやすくなる。

特定技能の資格で働くには技能実習生として一定期間の経験が要る。
農業技術と日本語の試験に合格すれば、そのステップを省くこともできる。
農業は地域の雇用を支える産業だが、それだけでは生産が危うくなる現実がある以上、特定技能の取得を支援することが農業界に求められている。

日本経済新聞

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