2045年の日本社会の変化を「ダイバーシティ」の観点から考える【DIAMOND2020年7月14日】

働き方改革とともに、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容)が進む日本社会の動向を、前稿「LGBT・障がい者・外国人・要介護者……多様な人が多様に暮らす社会の現在形」でまとめたが、それでは、いまから四半世紀後=2045年の社会はどうなっているのだろう?
今回は、テクノロジーの進化がもたらす変化ではなく、あらゆる人が暮らし働く“ダイバーシティ社会”の観点から考えてみよう。(ダイヤモンド・セレクト「オリイジン」編集部

) *『インクルージョン&ダイバーシティマガジン「Oriijin(オリイジン)』2019年3月発売号「オリイジン2019」の掲載原稿を加筆修正

人口減少と高齢者の増加が日本の社会を変えていく

2020年以降、日本社会が直面する最大の変化は、人口の急速な減少だ。2015年の国勢調査に基づく将来人口推計(国立社会保障・人口問題研究所)では、2045年の総人口はおよそ1億642万人となり、2015年比で2067万4000人減る(▲16.3%)。

都道府県別では、秋田県▲41.2%、青森県▲37.0%、山形県▲31.6%のほか、高知県、福島県も30%以上の減少が見込まれている。

人口減少と並ぶ重要な変化は、高齢者の割合が増加することだろう。2045年の高齢化率(65歳以上人口の割合)は36.8%となり、2015年より12.2ポイント増える。
すべての都道府県で30%を超え、19の道県では40%を超える。
東京都は30.7%と割合は最も低いが、人数でみれば100万人以上増え、地域社会に与えるインパクトはむしろ地方より大きいだろう。

人口全体における高齢者の割合が高まることの影響はさまざまな面におよび、社会の多様化がいま以上に進むのではないだろうか。
そもそも、人は、若い時ほど周囲の影響を受けやすく、それが集団的な流行を生む。
しかし、年齢とともに経験を重ね、それぞれの個性や価値観が固まっていく。
また、年齢とともに経済力や家族関係、健康状態などの違いも大きくなる。

 高齢者の割合が高まることは、“現役世代”(仕事を持っている人)の多様化ももたらす。高齢になれば病気がちになったり、介護を受けながら生活したりする人が増える。
認知症を発症するケースも少なくない。
結果的に、親の介護に関わらざるを得ない現役世代が増えるのだ。介護をしている人は約628万人で、このうち、仕事を持つ人は約346万人と6割近くにのぼる(総務省「平成29年就業構造基本調査結果」より)。

 今後、介護に関わるこうした現役世代が増えれば、残業や休日出勤、頻繁な転勤も可能な“正社員”は減るだろう。
政府が進める「働き方改革」の柱のひとつである「同一労働同一賃金」の影響もあり、2045年には正社員と非正規社員の区別はなくなっているかもしれない。
女性や高齢者自身が、それぞれの事情に応じて働く機会もいま以上に増えているはずだ。

外国人の存在も社会を形成する大きなカギになる

 2045年には、外国人も、日本社会で重要な存在となっているだろう。
外国人労働者に対しては、2019年度からの5年間で約26万~約34万人の受け入れ拡大を政府は想定しているが、その後も加速度的に増える可能性がある。
むしろ、外国人労働者が増えないと、農林水産業・中小製造業・介護・飲食サービス・建設業など、人手不足が深刻化している日本の多くの“現場”は回らなくなる。

 外国人労働者にとっても、日本の社会は閉鎖的な面もあるだろうが、治安が良く、宗教的な対立もほとんどないことはメリットだろう。
そのため、雇用条件が悪くなければ、就労先として人気が高まる余地はまだ十分にあるはずだ。2045年に外国人労働者を含む中長期在留者が現在の倍の500万人を超えても何ら不思議はない。

2045年の日本社会の質的変化は何に影響されるか?

 長期的に見れば、国内における外国人の “訪日旅行者”の比重も高まるだろう。2013年に1000万人を突破してからわずか5年、2018年には3000万人を突破した。
「新型コロナウイルス感染症の終息」というハードルをクリアすれば、東京2020オリンピック・パラリンピック(2021年開催予定)での訪日旅行者の増加は、2025年の大阪・関西万博と合わせて、国内経済に良い効果をもたらすにちがいない。

「量的変化は質的変化をもたらす」と言われる。

 いま、人口という“量”の変化は予測できるが、それがどのような社会の質的な変化をもたらすかまでは誰にもよく分かっていない。

 実際、専門家や識者の意見はさまざまだ。現状では、日本の未来に対してはネガティブな予見のほうが多く、高齢者が溢れ、経済は縮小し、社会から活気が失われるという。

 しかし、本当にそうなのか。

 ビッグデータを収集し、AIで分析し、ロボットも活用すれば、経済や社会は大幅に効率化できる。国全体が着実に経済成長しながら、成熟した社会を実現することは可能だ。
また、言うまでもなく、人口動態は社会を左右する重要な与件であるが、人口動態の変化がそこで生きる私たちの考え方・価値観・幸福度をすべて規定するわけではない。

 2045年――四半世紀後の多様な人々が暮らす社会の成熟度合いには、現在の私たちの考え方・価値観も強い影響を与えていくはずだ。

 ※本稿は、インクルージョン&ダイバーシティマガジン「オリイジン2019」特集《ダイバーシティが日本を変える!》内のテキストを転載(一部加筆修正)したものです。

注)「オリイジン」の最新号は「オリイジン2020」です。

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